今日もいい天気だった。
姉貴とオカンがまた近所でフリーマーケットをするというので子守りに駆り出された。
花粉がいっぱい飛んでて目がかゆい、だのぼやきながら、義兄さんと子守りして、ビッグマック買ってきて昼飯食って、ボール投げしてすべり台してくたくたになって、なんて平和なんだろうと思った。
同じ日本の別の場所では地獄のような惨状が広がっているのに。
孤立して救助を待つ人もいる。
着の身着のまま助かっても家族と連絡が取れない人もいる。
たとえそれなりに安全な場所に避難できていても、電気もガスも水も止まり、まだ雪が降る寒さなのに燃料も足りない。
ほんとに同じ日本か。
被災県にいる連れから「電気が復旧した」と連絡があって少し安堵したものの、食い物も燃料も足りない状態はしばらく続くんだろう。
具合が悪くなったとしてもすぐに病院に行けない、というのは十分命にかかわることだし。
のうのうとマック食って、甥っ子の不思議語録に笑っていた俺を、ひどく申し訳なく思う。
でもちょっと思うんだ。
もし、今回のことが知り合いの全くいない場所で起きていたらどうだったか。
例えば9・11の時のように、映画でも見るような非現実感とともに、対岸の火事として見守っただけだったろう。
阪神大震災の時も、まだ子供と呼べる歳だった俺は近所の友達以外に心配する相手もなく、ただ怖いと思いながらテレビを見る以外は普段となにも変わらなかった。
実際的な距離の問題ではなくて、心理的な距離の問題なのかなと思う。
いくら遠くても、この場にいてリアリティを感じられなくても、大事な人たちがいる場所はテリトリーの中なんだよな。
だから余計に、なんの影響もない自分の居場所がもどかしくて仕方ない。
「なんとかなると思うしかないのかなぁ」
愛しい人の言葉に、なんとかしてやると言い切れないのが悔しい。
少しでもたくさんの人が、暖かい夜を過ごせていますように。そう祈るばかり。
