久しぶりに読書日記。
「ぼくが愛したゴウスト」打海文三
確か「ハルビン・カフェ」を読みかけて忙しくなって放ったままにして遠ざかってた人なんだけど。
パラパラ読みしてたら文章が簡単だったので読む気になった(笑)
カテゴリー分けるとしたら何なんだろう。SF?
ミステリじゃないからまぁいいかって気もするけど激しくネタバレ含みます注意。
話はすべて主人公目線、彼が11歳の夏休みにアイドルのコンサートに行ったくだりから始まる。
ひとりで行ったコンサートの帰りに駅のホームで人身事故に遭遇する。現場に居合わせた売れない俳優に「見るな」と止められる。止まってしまった電車を迂回して家に帰る。
そこから何かがおかしくなる。「ぼく」はいつの間にか、現実とパラレルに存在する別の世界に迷い込んでしまう。
現実世界と何一つ変わらないように見えるのに、その世界に生きる人たちは何故か尻尾を持ち、「心」を持たない。
現場に居合わせたせいで同じように迷い込んでしまった俳優と一緒に、元の世界に戻るための道を探し始めるのだが、「ぼく」が耐えられなくなって家族に別の世界から迷い込んだことを告白してしまったことで、「侵入者」として追われ、捕えられることになる…
設定とか、淡々とした主人公目線の文章で村上龍の「五分後の世界」を思い出して、少し期待した。
でも話の本質は全く別で。
実は最初の20ページで「ゴウスト」の意味にピンと来てしまうというか、結局のところこの話がSFでもなんでもないことに気づいてしまって、残りの二百何ページかの救いのない展開を追いながら、俺が考えてたのは「いったいこの話をどうやって収束させる気だろう」ってその一点だけだった。(´・ω・`)
ホントにそこだけが気になって、何度も途中を読み飛ばしてラストを見そうになった。(笑)
結果から言ってしまうと、この話はきちんとした結論を出さないまま最後のページに辿り着く。
………スッキリしない。(笑)
さすがに俺だってディズニー映画ばりのハッピーエンドを望んでいたわけじゃない。けどこれは…
とてもスッキリしない読後感ながら、全体を通して絶望的な感じがしないのは、主人公にいつもどんな形にせよ「味方らしき人」がいて、孤立無援の戦いではないからかもしれない。
「ぼく」は子どもであるがゆえに、あるいはもって生まれた性格ゆえに、その味方らしき人物を全面的に信頼して身を任せる。読んでいる俺は馬鹿正直に信用することの恐ろしさを学んできてるから、そこにこそ不安を覚えるんだれけども、物語は出口が見えないままでもそれなりに救いを残して進んでいく。
んー、深いような深くないような。(´・ω・`)俺にはよくわからない。

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