スティル・ライフ

いつも一度で起きるのに珍しく寝起きが悪くて、目覚ましのスヌーズの間の5分ぐらいで夢を見た。

俺は何故か姉貴と姉貴んちのチビと出かけていて、出かけた先のビルの中で地震に遭う。
大地震じゃなくて、だから別に被害とかないんだけど、けっこう揺れたね、とか喋ってたら周りが騒然とし始める。
廊下のスピーカーからアナウンスが流れる。

「………ただいま○○市に北朝鮮のものと思われるミサイルが落下した模様です」

…冗談じゃねぇ。でもありがちすぎて冗談だろとか言いきれねぇ。

「……ミサイル数発の発射が確認されており、さらに別の地域への被害も懸念されています。また、核ミサイルであったかどうかの確認も取れていない模様です。お客様に置かれましては冷静な行動をお願いしたく…」

不思議と阿鼻叫喚にはならなかった。みんな外を眺めていて、俺も姉貴と窓がある場所まで行って空を眺めた。
真っ白に雲で覆われた空から細かい灰が降ってた。
次はきっとココだ、ってなぜかみんな思ってて、やけに静かに時間が過ぎて。
灰色と、電気が消えて暗くなった屋内に、俺が着てたお気に入りのダウンジャケットの赤が不釣り合いで笑いたくなった。
なんだ、終わりってけっこうあっけなく来るんだなぁ、って思って、こういう時どうしたらいいんだろう、って思って、なにも思いつかなくて、姉貴とちびっこいのを両腕で抱きしめた。
「最後ぐらい旦那と一緒にいたかったでしょ」
って聞いたら何故か笑って、
「今日の朝はケンカしなかったからいいことにする」
って言われて、二人で笑った。
冗談だったら良かったのに夢だったら良かったのにって思ってまた空見上げて、


…起きた。

冷汗かきまくり。
愉快な夢は現実離れしてるくせにこういうのだけやけにリアルで困る。
うん、夢で良かった。