適当に借りてきた3冊なのに、なぜだか同じ匂いがするから不思議。
失礼だとは思いつつまとめてしまえば、「世にも奇妙な物語」に出てきそうな話?
「少し変わった子あります」
行方不明になってしまっている同僚の手掛かりを探そうと、同僚がいなくなる前に話していた不思議な料理屋に行くことにする主人公。
場所も名前も決まっておらず、女将に電話をすると店へ案内してくれるシステムは変わってはいるが、恐ろしく高級というわけでもなく、料理が飛び抜けて美味 いわけでもない。ただ、ひどく優雅な食べ方をする女の子と一緒に食事をする、というおかしなメニューがあるだけのその店に、いつしか彼は通い詰めるように なり…
超常現象や幽霊がでてくるわけでもなく、つじつまは綺麗に合っているのに、妙に不思議な話。
短編集ではあるものの、主人公も設定もそのままなので1章2章みたいなもんか。
1話ずつ少しずつ違ったタイトルで、一人ずつ違った女の子と食事をする。
すべて主人公である大学教授の視点から語られる。
8話あるうちの最後の2話は、最初の主人公から店を紹介された別の教授が主人公になっている。
プライベートを尋ねてはいけない、2度と同じ女の子とは会えない、2度と同じ場所で営業はしない、という店の「ルール」が、不思議空間と妙なもどかしさを生んでなかなかスッキリしない。
出てくる女性がみんな、「取り立てて特徴がない」とかいう描写のわりに優雅で知性的で淡々としていて、まさに森ワールドの住人といった感じ(笑)
哲学的なところへ話を持っていきつつ、最後まで不思議は不思議のまま終わる。なんか、好きなんだけど若干不完全燃焼…(´・ω・`)
「溺れる市民」
初めて島田雅彦を読む人には忠告しておかないとまずいかもしれない。下ネタエロネタ満載です。映像化したら確実にR18指定。(笑)
同じ町が舞台という以外は完全に独立した14篇、ぱっと見奇妙な、でも意外とどこにでもいそうな人間の話。
「ゴミ拾い名人」の老人。見たこともない映画に一度だけ出たという女優に恋?してしまう中学生。「神様」と「世界」と「ぼく」の三角関係に悩む小学生の話。自称オナニーアーティストな高校生の話。
ほのぼのから救いのない話まで様々だけど、どれをとっても爽やかとはほど遠いどろりとした印象。
電波入ってるなぁ、って勢いの話も…(笑)
人間ってこういうもんだよな、自分もこんなだけどまぁいいよな、っていう気分になれる本。
正直お勧めはできません。俺は好きだけど。(笑)
「失はれる物語」(単行本バージョン)
確実にこの人の文章にはまりつつあります。ご本人曰く「邪道なライトノベル書き」だそうですが。
ティーン向けの文庫で書いてたって邪道だとは別に思わないんだけどな。
読書家を名乗るほどいろいろ読んでる人からみたら、きっと邪道なんだろうとは思う。
書き下ろし含め6篇。確かに文章は簡単、軽い、読みやすい。んで読後感が絶妙。
特に↑の本とは対照的な。(笑)やっぱりこっちはティーン向けなのかな。
あったかい、切ない、やるせない、がミックスされて、ぽわんと淋しいようなホッとするような気分が味わえます。
内容について書くとつまらない要約になってしまいそうなので割愛…
俺が一番好きなのは「しあわせは子猫のかたち」ていう話です。…猫が出てくるから?それもある(笑)

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