スティル・ライフ

朝ぼんやりしてたら姉貴から何やら鬼気迫る声で電話が。

「ねぇ！あんた今日休み？！脱走犯捕まえるから姫の面倒見てて！」

Σ(ﾟДﾟ)

物騒な依頼もよくよく聞けば、なんともささやかな事件でした。
金魚水槽に入れていたちっさいエビが寿命で死んだとかで、新しいエビを買ってきて追加したらしいんだけど、2匹足したのが2匹とも脱走したらしい。

「脱走ったって水槽の外に落ちてるぐらいじゃねェの？」
「一匹は3メートルぐらい離れたリビングの床で死んでるの見つけたの！」
「えええええ！うっそ！そんなんどうやって移動したん！跳ねたん？」
「知らないけどもう一匹が見つからない……どっか棚のすきまかも……姫が間違えて食べたりしたら困るから！！」
「あいよー……」

とぼとぼ向かう俺。(笑)

姫を抱っこして、血眼になって部屋中を掃除し始める姉貴を眺めること数十分。
部屋の中にはどこにもいない。

「夜の間にいなくなったん？」
「だと思う……昨日寝る前はいたもん」
「水槽の中でバラバラ事件なっててもうすでに食われたとか」
「うーん……」
二人してスッキリしないままだったけど、部屋の中はチェックしたから、と、姫を寝かしつけて撤収。
玄関で靴を履こうとした俺の目に信じられないものが映った。

「うおぁっ」
「な、なになに！」
「ちょ、これじゃね！エビ！」

玄関の隅にちっさいクモの巣が張っていて、そこに赤茶色に干からびたエビが……
リビングの水槽から廊下を通って、直線でもゆうに十数メートルはあろうかという場所。

ホラーです・