爺ちゃんと婆ちゃんが三年前に亡くなった後、主がいないまま放置されていた家を、とうとう取り壊すことにしたらしい。
築30年以上は余裕に経ってて、住むとなると耐震補強工事にもリフォームにもかなりかかるし、すぐ使う人がいるわけでもない。となればまぁ取り壊しってことになるのは当然だけど、取り壊すって言っても、食い物とか以外はほぼ当時のままになってるから、遺品を片付けないことにはどうにもならない。
爺ちゃんちは実家から歩いて2~3分のところにあるから、近くに住んでる俺は当然のように片付け要員に数えられてて、今日も呼び出されて作業してきた。
自分の持ち物じゃないから仕分けはわりと簡単。
使えるもの、使えないもの、と、分けて、使えないものはさらに燃えるものと燃えないものに分けて、ゴミ袋。
爺ちゃんとか婆ちゃんってもったいながってすげー無駄なもんいっぱい取ってあるもんだから、どんどんゴミ袋が積み上がっていく。(笑)
どっかでもらったポケットティッシュとか、使いかけの湿布とかが大量に出てきて、「まだ使えるまだ使える」ってなんでも後で使おうとしてたのを思い出して笑った。
大事にしまわれているほとんどが俺たちの目から見ると要らないもの。
それでもときどき「使えないけど捨てられないもの」が出てきて、作業が止まる。
俺が生まれる前にオカンが婆ちゃんによこした手紙が出てきたり。
爺ちゃんと婆ちゃんが大喧嘩した後に、仲直りしてよって二人に無理やり行かせた旅行の写真が大事に写真立てに入れてあったり。
俺や姉ちゃんが小学生のころ書いた敬老の日の絵が丁寧にしまってあったり。
そういうのが見つかるといちいち思い出話に花が咲いて進まない(笑)から、段ボール箱を一つ作って、そこにひとまず入れておくことにした。
まだまだ先は長そうで、今日明日ぐらいじゃとても終わらない様相だけど、少しずつ片付いてがらんとしてくるとなんだか寂しい。
人が二人住んでた痕跡というのはそれなりに重いんだな。
3年もほとんど手つかずで残していたオカンの気持ちが少しわかった気がした。
そういえば。形見とかもらう気なかったんだけど一つだけもらってきた。
競馬大好きだった爺ちゃんのポケット短波ラジオ(笑)
最近なかなか売ってないよなァ。
