たいした志もなくのんびり生きてきた男です。
のんびりした町ののんびりした学校でそこそこの優等生としてのんびり育ち、そこそこ期待はされてたようだけど、大学を出るころになってもやりたい仕事なんか決まってなかった。
動物大好きで犬の散髪ができるでもなし、美味いコーヒーを淹れるのにすごくこだわりを持ってるわけでもない。
公務員試験とかめんどくせーと思ったし大企業にアピールする特技もなかったし、でも自分で起業したりするほどの情熱もどこにもなかった。
同じゼミのやつらも少しずつ内定が決まって、少し焦って就職活動しはじめて、途中で出会ったすごく面白い社長さんに拾ってもらった。
仕事の内容は全く知らない分野で、ひたすら勉強することばっかりで、しかもお客さん相手の部署だったから大変だったけど、職場はすごくいい人ばっかりで楽しかった。
仕事は捌いても捌いてもどんどん降ってきて、慣れてくると新しい仕事を任されたりして、やりがいはあったけど、ただ仕事に追われているような日々に嫌気が差すこともあった。
毎日同じように毎日の仕事をやりすごして、興味もなかったようなことにやたら詳しくなって、書類を書いて電話してお客さんに愛想笑いを振りまいて、30になっても40になってもこのままだったらどうしようって。
今思えば贅沢な悩みだよな。
それのどこがいけない?と思う。
結局何かに耐えられなくなって勝手に潰れそうになって、すごく好きだった上司にも社長にもごめんなさいして、会社を辞めた。
今の仕事場は知り合いの伝手で入れてもらった。
結果的には昔から好きだった車を作る仕事に関われて、忙しさも波がある分前のところよりだいぶ楽だけど、でも仕事はやっぱり仕事で、追われ始めて自分の時間が減ると好きだと思ってたことにもうんざりしたりする。
あんまり成長してないというか仕事って結局そういうもんなのか。
嫌いじゃないけどすごく好きでもない、面倒なこともいっぱいだけどお金貰ってる以上は頑張らなきゃな。って、そのくらいがちょうどいいんじゃないかと俺は思う。
ちょっと話がずれたけど。
そうやってただ漠然と生きてきて巡り会えた仕事に就いてるだけの俺だから、昔からずっとやりたかったことがあるんだ、って言える人はすごく羨ましい。
どうしても叶えたいんだ、って言う姿はカッコいいと思う。
でも、多少なりとも世の中のいろんな厳しさを見て来た俺には、絶対うまくいくよ、ってただ無責任に背中を押す勇気はない。
応援はしてる。できることは何でもしたい。でもね。
あーあーあー。悩む。

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