送ろうかどうしようか、朝からずっと迷っていたメールは、送らずに削除した。
届くかどうかもわからないのに迷っている自分が最後には馬鹿みたいに思えた。
三島の最後の演説と同じ日なんだよ、とか。
俺はそんなの知らなかったし正直どうでもよかったから、俺にとっての今日は、ただ祝いたい誕生日のうちのひとつだった。
きっともう忘れてる。
俺だけまだ覚えてる。
思い出して少しだけ懐かしく嬉しく感じるのと、後ろめたく感じるのと、どっちが多いか考えたら、思い出さない方がいいに決まってる。
今幸せでいてくれればいいなと、それだけ思う。
もしいつかまた会えたら、俺は幸せだよって笑って自慢しようと思う。
