心ン中で師匠と崇めてた人が突然この世からいなくなってしまった日。
もう11年も経つんだなぁ。そんな昔とは思えないぐらいはっきりと、今でもあの時のショックを思い出せる。
hideはすげぇ人だった。
ギタリストとしてもそうだけど、それ以上に人間としてすげぇ人だった。
まだまだずっと彼の活躍を見ていたかったのに、別れはあまりにも早すぎた。
去年の5月2日、何故かちょうどこの日に、大好きだった母方の爺ちゃんが逝ってしまった。
だいぶ前から調子が悪かったのは聞いていたし、順番から考えても歳から考えても自然なことではあったけど、何言ったって悲しいもんは悲しいし、ココロにぽっかり空いた穴はどうしようもなくて。
5月2日がまた忘れられない日になった。
そういうことは続くものらしく。
それから2週間経って、今度は婆ちゃんが後を追ってしまった。
1年ぐらい前から痴呆の症状があって、爺ちゃんと住んでいる間もオカンが毎日のように面倒を見に行ってたんだけど、一緒に住むのはどうしても嫌だったらしくて、結局最後まで一人で住んでいた。
爺ちゃんの葬式のときもわかっているのかいないのか ぼんやりしたままで。
さすがに周りも心配になって、頑なに拒否する婆ちゃんを オカンが毎日説得しに行っていた矢先だった。
見つけたのはオカンで、そのときにはもう息がなかったそうだ。
…それ以上のことは聞けなかった。
時代柄か、好き合って結婚したわけではなかったらしい。
爺ちゃんが生きていた間はいつも口喧嘩ばっかりで、出て行けだの離婚しろだの、傍目にも仲の良い夫婦ではなかったけど。根っこでは婆ちゃんは爺ちゃんのことがものすごく好きだったんじゃないかと思う。
居なくなったら生きている甲斐がない、と思えるほどに。
最期の何日か、爺ちゃんが入院してたから家にいなくて、何度も何度も婆ちゃんが「おじいさんはどこ行ったんだっけね?」って言ってたのを知ってたから、俺は葬式のあと、喪服のまま婆ちゃんと、爺ちゃんの遺影と写真を撮った。
ちょっと不謹慎だとは思ったけど。
「じいちゃんもういないんだよ。葬式ももう終わったよ。」
しばらく経ってもやっぱり聞かれたから、写真を見せて、そう言い聞かせて、俺はなんて酷なことをしてるんだろうと、思った。
「そうかぁ、そうだったなぁ」って納得した顔をして、ちょっと笑ってるのに淋しそうだった婆ちゃん。
普通なら俺以上に忘れられない日になったんだろうに、婆ちゃんは覚えていられなかったんだ。
毎日毎日、とても大事だったものがもうないんだって思い知らされて。
しかもそれを自分が覚えていられないっていう事実付きつけられて。俺だったら堪らない。
婆ちゃんもきっとそうだったから、爺ちゃんのことを全部忘れないうちに会いに行きたかったんじゃないか、と勝手に思う。
前に書いた日記と矛盾してる気もするが。(笑)
もう尋ねることもできないから想像するしかない。
婆ちゃん、もう1年経ちますが、爺ちゃんには会えましたか。
PR